リーマンショック10年 建部正義氏(中央大学名誉教授)
リーマンショックをきっかけとして世界経済が破たんの淵に直面したのはちょうど10年前の秋のことでした。各国は緊急の財政出動や金融規制の強化などの対応で、当座の危機は乗り越えたかに見えました。しかしその後、金融危機はソブリン危機に転化し、金融市場は異例の金融緩和で資金があふれるなど、危機の再来が取りざたされています。
金融危機の再発を防ぐために強化された金融規制は、果たして今も有効でしょうか。ますます増大する各国の政府債務、それに対する対策としての緊縮政策は世界経済に何をもたらすのか。私たちは世界経済の新たな問題に直面しています。