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2021.06.07

各種研究会

 初夏の候、皆様いかがお過ごしでしようか。次回研究会は、中谷武さんに、齋藤幸平「人新世の『資本論』を読んで」と題して報告をいただきます。報告内容とその趣旨については、中谷さん自身の言葉で語っていただきました。

 齋藤氏の「人新世の『資本論』が大変な評判になっています。本書は気候変動危機をグローバルで、資本主義経済そのものに関わる問題として捉えて、マルクスの再解釈にも挑む興味深い書物です。私も一読者として本書から学んだ興味深い点と、併せていくつかの疑問点や残る分析課題などについて述べるのが今回の報告の内容です。
 
 具体的には、前者としては、気候変動問題をマルクスの人間と自然の物質循環から捉える重要性、脱成長の概念、特にその労働時間の短縮との関わり、そして私はこれについて詳しくありませんが、欧州・北米等で生じている気候変動、貧困と格差、ジェンダー、人権等の若者の動きが挙げられます。

 他方で、疑問点や課題としては、脱成長コミュニズム概念の具体的なイメージ、特に市場経済との関係をどう考えるか、技術や生産力と社会変化との関わりについて、そしてすべての社会構成員が決定に参加できる社会編成としてコモンを捉えることの意義について、私には十分納得できない面があることについて議論します。

 といっても私がこれらの疑問への解答を持ち合わせているわけではなく、皆さんと一緒に考えて行ければと思います。