中小企業診断士として会社設立後に営業開拓した法人顧問先のオーナー(代表取締役会長・創業者)より、子会社の経営相談を受けた。2020年12月からM&Aの売り(子会社売却)に向け、M&A大手仲介会社を活用し、売買が成立するように尽力した。結果、2021年9月に子会社の買収先である上場大手ゼネコンがプレス・リリース(適時開示)し、11月に当該大手ゼネコンの傘下に異動し、M&Aが成立した。
M&A対象の子会社は2005年に子会社となり、2021年から数えて16年を経過していた。親会社は躯体工事業の建設業者で、大手ゼネコンの下請けが主体業務で売上(完工高)は40億円、最終利益は2億円であった。一方の子会社は地場のゼネコンで、国や県、地元である県庁所在地の市から直で受注する元請け(親受け)で、売上は90億円で、最終利益は5億円である。
親会社オーナーが16年に渡って行なったマネジメント統合化の難しさ、また当該子会社の売却を決意する中で、PMI(買収後の統合化作業)とグループガバナンスの難しさなど、多方面から経営分析を行なう。
本来であれば、M&A評価の視点では、安く買って高く売るという面では成功といえるが、マネジメントとガバナンスの視点では、必ずしも成功したとは言えない。その理由を具体的事例と根拠に基づいて報告をしたい。