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2022.11.14

公開研究会

 1980年代以降、世界を席巻している新自由主義の下、「資本」が解き放たれ、株主主導の経営と市場万能の経済が世界を覆っている。そのなかで、気候変動の深刻化、貧富の格差の広がり、極端なまでの富の偏在などが進行し、民主主義に危機をもたらすに至っている。
 2007年のリーマンショックを契機とする世界金融危機以降、新自由主義の行き詰まりが広く認識され、「資本主義の危機・限界」が論じられるようになった。
 このような背景の下、トランプ大統領に代わって政権に就いた米国のバイデン大統領は、ビルド・バック・ベター政策を打ち出し、大企業・富裕者増税と大きな政府を掲げ、新自由主義とは異なる経済路線を打ち出した。日本では総裁選で「新自由主義からの転換」を掲げた岸田新総理は、首相就任後「新しい資本主義」プロジェクトを立ち上げ、資本主義は堅持するものの、それをいかに時代に適応させるかを模索している。
 いずれにしても今日の世界を読み解き、21世紀を展望するとき、「新自由主義」や「現代資本主義」への問いは避けて通れない。何が問題なのか、それ以外の道はないのか。どうしたら望ましい道に進むことができるのか。現実が提起しているさまざまな問いに対して、既存のアカデミズムは十分に答えているとは言えない。
 これらの人類的課題を提起し、根源的な問いに答えることは、当研究所の存在意義を示すためにも重要である。
 吉原直毅氏は近代経済学とマルクス経済学に精通する世界的に知られた理論経済学者であり、米国マサチューセッツ大学アマースト校教授を務めている。また経済学、哲学、政治学など著名な学術雑誌に数多くの研究成果を発表しており、現実世界が提起しているさまざまな問題を掘り下げ、解決への道を真摯に探っている代表的研究者の一人である。



▼吉原直毅氏のプロフィールと関連著作

 吉原直毅氏は、理論経済学者であり、マサチューセッツ大学アマースト校経済学部教授、一橋大学経済研究所特任教授。2010年に経済理論学会第1回奨励賞を、そして、2011年にthe Distinguished Achievement Award in Political Economy for the 21st Century by the World Association for Political Economyを受賞。主要著著・編著には『労働搾取の厚生理論序説』(2008年2月, 岩波書店) 等。関連文献には、「されどマルクス」『別冊経済セミナー』(2018年5月) 、「現代の危機に求められる経済論争の復権」『世界』2020年10月、「思想の言葉―「非物質的」資本主義とは?」『思想』 2020年8月、「危機の時代に求められる俯瞰的経済理論と経済学教育」『季刊経済理論』59巻2号, 2022年7月などがある。

吉原氏は、主流の新古典派経済理論と古典派及びマルクス派経済理論に等しく精通している傑出的経済学者の 数少ない1 人として、世界的に知られる。その研究対象は非常に広く、マルクス派搾取理論の公理論的分析、公理的交渉理論、ナッシュ遂行理論、分配的正義への非厚生主義的アプローチ、個人的権利と社会的厚生などのテーマで、経済学、哲学、政治学などの著名な学術雑誌に数多くの研究成果を発表している。 

▼会場
オンライン

▼映像アーカイブ特典
映像アーカイブは公開いたしません。

▼主催
公益財団法人 政治経済研究所