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2024.09.14

告知

現代経済研究室・金融問題研究室共催オンラインセミナーのご案内

下記の要領で、現代経済研究室・金融問題研究室共催オンラインセミナーを開催します。

テーマ ホモ・クアンティフィカンスと貨幣―「価値形態論」から「負債論」へ
報告者 斉藤美彦氏(大阪経済大学経済学部教授)

日 時 2024年10月5日(土)14時~16時(質疑応答の状況によっては延長の可能性があります)
参加費 無料
場 所 Zoom+政治経済研究所3階会議室

「ホモ・クアンティフィカンス」とは何か?貨幣を生み出した原動力を探る。

※zoom招待URLおよび事前資料は、お申し込みされた方へ、前日午後5時頃にお送りいたします。
※報告者は会場で報告します。  

【概要】

 グレーバーは、『負債論』において「物事を割合として比較するのは、人間の思考とおなじくらい古い」とし、それは貨幣の出現にかかわるという。この人間の側面を「ホモ・クアンティフィカンス」と名付けるならば、これこそが貨幣を生み出した原動力ではないか。従来の定説は「貨幣は物々交換の不便から発生した」というものであるが、イネスはスミスの『国富論』(第4章)の議論を完全に否定し、物々交換社会など人類史において存在しなかったとしている。この見解はグレーバー等の人類学者も認めているが、この観点からイネスは「貨幣とは信用であり、信用以外のなにものでもない」とする。品交換から貨幣の発生が説けないとするならば、貨幣とは信用関係から発生したものということとなる。この信用先行説は、銀行の機能・歴史等において支払決済業重視にもつながることとなる。すなわち支払決済システムが存在して初めて貸出業務が行われえたのではないかというものである。こうしてホモ・クアンティフィカンス視点は、貨幣論・信用論の革新へと結びつくのではとの議論を展開したい。

参考図書:斉藤美彦『ホモ・クアンティフィカンスと貨幣:「価値形態論」から「負債論」へ』(丸善プラネット)2024年8月


【報告者紹介】

斉藤美彦(さいとうよしひこ)
大阪経済大学経済学部教授
1955年北海道北見市生まれ。東京大学経済学部卒業
全国銀行協会連合会(現・全国銀行協会)・日本証券経済研究所等を経て2015年より現職。
最近著:『ホモ・クアンティフィカンスと貨幣:「価値形態論」から「負債論」へ』(丸善プラネット)2024年8月
2020年4月にYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCmb-W4OozOLDxUqtmn9ypuQ/videos)を開設。